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仙石 盛夫
電気学会プラズマ研究会資料 (PST-03-41), p.23 - 26, 2003/09
ITERや将来の核融合炉における定常運転シナリオでは、ブートストラップ電流(自発電流)の全電流に対する割合が十分大きいことが要請される。本講演では、ITERの非誘導定常運転シナリオの解析をもとに、アスペクト比(プラズマ大半径/小半径)の小さい場合にも適用可能なモデルにより、商用炉VECTOR(アスペクト比約2)についてブートストラップ電流と、外部駆動電流の分布を求めて最適化及び駆動電流のアスペクト比依存性を報告する。対象とするプラズマ放電モードは、弱負磁気シアー及び強負磁気シアーの電流ホールが発生している場合を扱った。
菊池 満; JT-60チーム
Plasma Physics and Controlled Fusion, 43(12A), p.217 - 228, 2001/12
被引用回数:9 パーセンタイル:30.4(Physics, Fluids & Plasmas)1985年以来16年もの間に、JT-60計画は定常運転に関して、顕著な進展があった。1990年に概念を定めたSSTRは、JT-60における80%ブートストラップ電流の実現に基づいた炉であり、それに示された各種のプラズマ条件を満足することを目標としてこれまでJT-60において研究が続けられた。本論文は、1991年から継続的に行われた、定常運転法の実現に関する研究成果をまとめたものであり、最新の電流ホールに関する結果も示している。
藤田 隆明; 井手 俊介; 鎌田 裕; 鈴木 隆博; 及川 聡洋; 竹治 智; 坂本 宜照; 小出 芳彦; 諫山 明彦; 波多江 仰紀; et al.
Physical Review Letters, 87(8), p.085001_1 - 085001_4, 2001/08
被引用回数:183 パーセンタイル:95.97(Physics, Multidisciplinary)JT-60Uトカマクにおいて、80%に及ぶ高い自発電流割合を有する準定常負磁気シアプラズマが初めて得られた。内部輸送障壁領域にピークを持つ自発電流によって負磁気シア領域の時間的縮小が抑制され、大きな半径の内部輸送障壁が維持された。Hモードによる境界輸送障壁の重畳によりHモードスケーリングの2.2倍に達する高い閉じ込め性能がエネルギー閉じ込め時間の6倍(2.7秒間)維持された。さらに、ビーム駆動電流と自発電流によって完全非誘導電流駆動が得られた。
二宮 博正; JT-60チーム
Fusion Engineering and Design, 51-52(Part.B), p.1015 - 1023, 2000/11
被引用回数:1 パーセンタイル:12.08(Nuclear Science & Technology)トカマク炉の定常運転のためには、高い閉じ込め性能、高、高密度、高ブートストラップ電流割合での完全非誘導電流駆動、及びダイバータでの粒子・熱制御の同時達成が必要である。この実現のためにJT-60Uで進められている機器整備及びそれを用いた実験結果について述べる。閉じ込めに関しては、磁気シアの最適化と中性子や磁気エネルギーのフィードバック制御の導入により、核融合エネルギー増倍率Q=1.25を達成するとともに、Q~0.5のプラズマを約1秒間持続することに成功した。また、高い閉じ込め性能、高及び高ブートストラップ電流割合での完全非誘導電流駆動の同時達成に成功した。負イオン源中性粒子入射を用いた電流駆動では、~1.310A/W/mというトカマク炉で必要とする電流駆動効率に近い結果を得た。また、W型ダイバータ実験、ディスラプションの実験でもトカマク炉に向けた重要な成果を得た。
石田 真一; 松田 慎三郎
プラズマ・核融合学会誌, 76(6), p.601 - 603, 2000/06
JT-60では、プラズマ物理の研究開発の面で引き続きITER計画への貢献を図るため、JT-60のコイルを超伝導化し、高性能プラズマの定常運転制御などを可能とする「JT-60コイル改修計画」を平成13年度から開始できるよう検討している。ITERの運転・実験の効率化及び定常運転原型炉概念の基礎形成を図るため、JT-60の既設備を最大限に活用して、主要な研究課題として高性能プラズマ及び高ベータプラズマの定常運転制御、そしてダイバータ熱・粒子排気の長時間制御に取り組む。この本改修の目的は、第三段階核融合開発基本計画で定められた先進的・補完的研究開発として位置付けられる。本稿は、JT-60の展望として、改修計画の概要並びにこれまでの検討の進捗等について述べたものである。
西谷 健夫; JT-60チーム
Proceedings of 18th IEEE/NPSS Symposium on Fusion Engineering (CD-ROM), 20 Pages, 1999/10
1998年から1999年にわたるJT-60Uの成果を紹介する。JT-60Uでは定常トカマク運転の研究を目的として、W型のポンプ付ダイバータを1997年5月に取り付け、500keVの負イオンNBIとともに実験を進めている。高性能化プラズマ研究では、負磁気シアモードにより、過渡的ではあるがQ=1.25の核融合利得を1998年に達成した。1999年には中性子発生率や蓄積エネルギー等の実時間制御を積極的に使用し、Q0.5のプラズマを0.8秒間維持するのに成功した。また負磁気シアモードプラズマに負イオンNBIを入射することにより、ブートストラップ電流とNBI駆動電流によりほぼ100%の非誘導電流駆動を確認した。さらにダイアモンド窓を使用したジャイロトロンを導入し、1MW,1.6秒間のECH入射に成功した。
芳野 隆治; 竹治 智; 諫山 明彦; 藤田 隆明; 閨谷 譲; 福田 武司
Europhysics Conference Abstracts, 23J, p.425 - 428, 1999/00
内部輸送障壁をもつ負磁気シアプラズマは、多くのトカマク装置において、高い閉じ込め性能を実証されている。しかし、この閉じ込め改善は過渡的であり、高い頻度でメイジャーディスラプションが発生している。このうち、安全係数の径方向の最小値(q)が3または2の近傍において規格化値に上限があり、これを越えるとディスラプションが発生する。qが3または2に下がるのは、内部輸送障壁での局所的な閉じ込め改善とそれによるブートストラップ電流の増大が正のフィードバックを形成することによる。系統的な解析の結果、qが2または3となる場所でのトロイダル回転シアが存在するとき、ディスラプションが発生しないことがわかった。以上の結果より、qの値とqの位置でのトロイダル回転シアにより、ディスラプションの発生を予測できる。
逆井 章; JT-60チーム
Proceedings of 17th IEEE/NPSS Symposium Fusion Engineering (SOFE'97), 1, p.18 - 25, 1998/00
JT-60Uでは定常トカマク炉の物理基礎の確立及びITER物理R&Dへの貢献を目的として、閉じ込め向上、放射冷却ダイバータ、非誘導電流駆動を中心に研究を進めている。高放電の性能向上により高いブートストラップ電流を誘起し、効果的な定常運転が可能となった。負磁気配位は急勾配な圧力分布に起因する高いブートストラップ電流を産み出すため、先進的定常運転シナリオとして注目される。負磁気シア放電の定常化の課題は崩壊の回避とMHD安定化の描像を明らかにすることである。負イオン源NB入射による電流駆動実験を行い、高い電流駆動効率を得ると共に、完全電流駆動での定常運転を目指す。1997年2月から5月にかけてW型ポンプ付ダイバータへの改造工事を行い、6月から放射冷却ダイバータと高閉じ込め性能との両立を図る実験を行っている。ダイバータ排気により密度制御性能及びダイバータの放射損失を増大させた。
栗田 源一; 牛草 健吉; 菊池 満; 永島 圭介; 閨谷 譲; 宮 直之; 豊島 昇; 高橋 良和; 林 巧; 栗山 正明; et al.
Proceedings of 17th IEEE/NPSS Symposium Fusion Engineering (SOFE'97), 1, p.233 - 236, 1998/00
SSTRのような定常トカマク炉を実現するためにはアルファ粒子の加熱に加えて、高q(5~6)と高(2~2.5)において、良好な粒子制御体での高いエネルギー閉込め(Hファクター2)、安定な高規格化(~3.5)、高いブートストラップ電流の割合と高効率電流駆動、ダイバータによる熱負荷の軽減とヘリウム排気等を同時に達成する必要がある。定常炉心試験装置は、ITERの先進的シナリオに貢献すると同時に、このような炉に適した運転モードを重水素を用いて確立するために、研究されている。18個のTFコイルは、R=4.8mにおいて6.25Tのトロイダル磁場を発生し、10組のPFコイルは、楕円度2まで、三角形度は、ダブルヌルで0.8までとれる設計となっている。電流駆動系は、広い範囲の電流分布制御ができるように、合計60MWの負イオンNBIとECHの組合せとなっている。
栗田 源一; 永島 圭介; 飛田 健次; 閨谷 譲; 牛草 健吉; 長島 章; 久保 博孝; 小関 隆久; 山本 巧; 細金 延幸; et al.
JAERI-Research 97-023, 68 Pages, 1997/03
定常炉心試験装置は、定常核融合炉とITERにおける先進トカマク運転の開発のためJT-60設備を最大限に利用するように設計されたトカマク装置である。主半径は4.8m、最大プラズマ電流は10MAで、5MAのプラズマ電流で最大8.810mまでの定常運転が可能である。MHD安定性とエネルギー閉じ込めを良くするために、大きな三角度のプラズマ配位が可能である。またプラズマの体積を最大にするために、小型のダイバータを設計した。計測システムは主プラズマ計測及び周辺プラズマ計測装置によって構成され、これらには基本的に既存設備が充てられる。ただし、YAGトムソン散乱システムは特別に強化され、また、新規計測器として、定常磁場測定プローブ、マイクロフィッションチェンバー、ペニングゲージが導入される予定である。
西尾 敏; 植田 脩三; 青木 功; 黒田 敏公*; 三浦 秀徳*; 栗原 良一; 功刀 資彰; 関 泰
Fusion Energy 1996, 3, p.693 - 699, 1997/00
トカマク型核融合炉の弱点のひとつに機器構成の複雑性及び使用材料の放射化に起因して保守・修理の困難さを伴うことが指摘されている。その困難さを大幅に軽減するために極低放射化材料を使用するとともに、トーラス体を放射状に等分割し、それぞれのセクターを組立ユニットとする新たな炉概念DREAM炉を提案した。主な特徴は、(1)SiC/SiC複合材の導入により、保守時の放射線線量率を著しく低減し、さらにディスラプション時の電磁力発生を回避した。加えて、強い耐熱性故高温ヘリウム冷却が可能となり熱効率が向上した。(2)プラズマアスペクト比を大きくしたことにより、配管系をトーラス内側に引き出すことが可能となった。さらにブートストラップ電流の比率が大きくなり所内電力比が低減された。
鎌田 裕; 牛草 健吉; 閨谷 譲; 内藤 磨; 小関 隆久; 河野 康則; 芳野 隆治; 久保 博孝; 藤田 隆明; 石田 真一; et al.
IAEA-CN-60/A5-5, 0, p.651 - 661, 1995/00
電流分布と圧力分布の最適化によって、ELMのあるHモード(ELMy Hモード)におけるプラズマの総合性能が大きく進歩した。nTi(0)=4-510mskeVの高核融合積状態を最長で1.5秒維持することに成功した。また、ブートストラップ電流とNB駆動電流の和により、I=0.5MA~1MAでの完全電流駆動を達成すると同時に、規格化ベータ値~2.8-3.2、ポロイダルベータ値2.6~3及び閉じ込め改善度=2~2.5を維持することに成功した。これらの成果は、MHD安定性の向上によるものである。
菊池 満; 安積 正史
Plasma Physics and Controlled Fusion, 37, p.1215 - 1238, 1995/00
被引用回数:74 パーセンタイル:32.26(Physics, Fluids & Plasmas)ブートストラップ電流は、トロイダルプラズマにおける捕捉粒子によって発生するプラズマ電流である。表面電圧、内部インダクタンス、ファラデー回転等の磁気測定は、トカマクにおける新古典ブートストラップ電流の存在と合致する。電気伝導度に対する新古典補正も実験によって系統的に実証された。これらの結果は、磁力線に沿った、一般化されたオームの法則が、新古典輸送理論が予測する通りになっていることを示している。ただし、磁場に垂直方向の輸送は新古典輸送理論からはずれている。本論文は、ブートストラップ電流に関するレビュー論文であり、理論、実験両面にわたる最新の結果を述べている。
鎌田 裕; 牛草 健吉; 内藤 磨; 閨谷 譲; 小関 隆久; 飛田 健次; 石田 真一; 芳野 隆治; 菊池 満; 森 雅博; et al.
Nuclear Fusion, 34(12), p.1605 - 1618, 1994/00
被引用回数:48 パーセンタイル:80.31(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60Uにおいて、電流分布のピーク化及び圧力分布の平坦化により、ベータ限界が大幅に上昇した。さらに、定常化性能を向上することに成功し、ELMのある準定常Hモードにて、~2.5-3、~2.5-3.1、H-factor~1.8-2.2を得た。この状態は、約1秒間続き、この間、ブートストラップ電流(60%)とNB駆動電流(40%)の完全電流駆動を達成した。この時プラズマ電流0.5MA、トロイダル磁場1.5Tである。
J.P.Wang*; 安積 正史; J.D.Callen*; 谷 啓二
JAERI-M 92-107, 29 Pages, 1992/07
磁気面平均ピッチ角/を磁場最小点でのピッチ角で置き換えるCordeyの手法を用い、ピッチ角散乱固有関数展開法により、バナナ領域での高速イオン・ドリフト運動論方程式を解析的に解いた。更に得られた解を用いて、磁気面平均された、磁力線に平行な粒子流及び熱流に対する粘性係数を評価し、径方向新古典輸送およびブートストラップ電流を与えるモーメント方程式を導いた。この方程式に対して高速イオン摩擦係数を用いる事により、高速イオン成分を含んだ核融合プラズマに対して、モーメント法にもとづく解析が可能となった。高速イオン摩擦係数に対しては、等方速度分布からのゆがみに対する新しい直交関数展開法を開発し、高速イオンと熱化イオン間の摩擦係数を評価した。
藤沢 登; 滝塚 知典
JAERI-M 92-064, 12 Pages, 1992/05
トカマクプラズマ中に自発的に誘起されるブートストラップ電流がITER等の実験炉に積極的に取り入れられるようになった。ブートストラップ電流は電流駆動に必要なパワーを減し、ダイバータの問題を楽にする。ブートスラップ電流密度は本質的にホローな分布となるため、ブートストラップ電流の割合を、大きくしていくと、外部から供給する電流分布が奇妙な分布となってしまう。ここでは大きなアスペクト比のトカマクについて、全プラズマ電流密度と圧力の分布について外部供給電流密度分布を求め、好ましい電流密度と圧力の分布を調べた。全プラズマ電流密度分布はできるだけフラットな、プラズマ圧力はできるだけピークした分布が適切である。大アスペクト比トカマクのブートストラップ電流を簡単に求める表式を求めた。
菊池 満; 関 泰; 及川 晃; 安藤 俊就; 小原 祥裕; 西尾 敏; 関 昌弘; 滝塚 知典; 谷 啓二; 小関 隆久; et al.
Fusion Engineering and Design, 18, p.195 - 202, 1991/00
被引用回数:8 パーセンタイル:66.02(Nuclear Science & Technology)JT-60トカマクにおけるプラズマ電流の80%に及ぶブートストラップ電流の観測により核融合炉設計において、ブートストラップ電流率を高くとることができるようになった。これに基づいた動力炉(SSTR)の概念設計を行なった結果について報告する。SSTRの特徴は定常運転をするための電力を減らすためにブートストラップ電流を利用することである。この要請により適度なプラズマ電流(12MA)と高ポロイダルベータ(=2)を設定した。この条件を満足させめために、高アスペクト比(A=4)と強磁場(B=16.5T)を用いた。電流駆動には負イオン源NBIを用いる。近未来の工学・物理に基づいて正味の電気出力を出す炉の概念を示すことができた。
菊池 満
日本原子力学会誌, 32(10), p.950 - 961, 1990/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Nuclear Science & Technology)ブートストラップ電流はトカマクプログラム中に自動的に流れる電流であり、この電流はトカマクプラズマの自己保持に有効である。JT-60の最近の研究では、ブートストラップ電流が全電流の80%にも達することが発見された。この事実は次世代の実験炉に大きなインパクトを与える。本解説ではブートストラップ電流のしくみから炉への応用まで易しく説明したものである。
JT-60チーム
JAERI-M 90-066, 295 Pages, 1990/03
JT-60の1989年における実験結果のまとめ・速報である。この期間において、JT-60は1)分布制御によるプラズマ閉じ込めの改善、2)定常運転の研究の2点に重点をおいて実験を進めた。